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2014年夏、宇宙に挑み続けたNASAの宇宙開発の歴史、そして目覚ましい進歩と実績を見せるJAXAをはじめとする日本の取り組みを一同に紹介する「宇宙博2014-NASA・JAXAの挑戦」が千葉幕張メッセで開催され、来場者30万人を軽く突破する賑わいを見せました。多くの入場者をどう滞りなく場内へご案内するか・・・開幕まで3ヵ月を切る中、株式会社NHKプロモーション様は急遽、パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)のチケッティングシステムとゲートシステムの導入を決めました。
株式会社NHKプロモーションは、美術展、博覧会、コンサート、各種イベント、公演のプロモーションや映像制作を企画・制作・運営する会社。2014年7月~9月、千葉幕張メッセで開催された大型イベント「宇宙博2014-NASA・JAXAの挑戦」は同社ならびにNHK、朝日新聞社の企画により開催された。
約2ヵ月半の短期だが注目度の高い大型イベント。多くの入場者を滞留させることなく円滑に入場受付したい。
来場者が多い分毎日の集計作業はとても手間のかかる作業。短時間で効率的に行いスタッフの負担を軽減したい。
「今回非常に大規模な展示会だったので、アナログ的な運営方法ではどんなに人的パワーをつぎ込んでも対応が難しくなるという問題にぶち当たりました」「宇宙博2014-NASA・JAXAの挑戦(以下、宇宙博)」の企画運営に携わった株式会社NHKプロモーションの中田恒平プロデューサーは当時を振り返ります。
「これまでいくつのもイベントや美術展を企画してきましたが、今回の宇宙博は規模が桁違い。67日間の短期イベントではありますが、これまでの感覚でやっていたら立ち行かなくなるのではないか」と悩んだそうです。また一日の来場者が1万人を超えると、閉場後の集計処理の負担も相当大きくなります。複数のエージェントから販売されている前売券、割引券、そして当日券など多くの券種が混在する中、売上金額をピッタリ合わせて集計し締めていかなくてはなりません。
中田氏は、「宇宙博で、大勢のスタッフが必死で手作業してるっていうのもさえない。楽しみに来場された方もそういうのを見るのはいやだろうな」と宇宙博のイメージを大事に考えていました。しかし、時は 既に3月に入り宇宙博開会までに4ヵ月を残すばかり。準備に十分な時間が取れず早急な対応が求められる時期に入っていました。
中田氏は、足立美術館※1(島根県)森美術館※2(東京都)の自動ゲートや運営システムを覚えていて「あれが短期のイベントでも使えないか」と思いつき、いろいろ調べているうちにパナソニックISの実績を知りました。そして今回のシステムを「開期に合わせ『短期レンタル式』で提供して欲しい」と依頼したのです。
1 足立美術館:島根県安来市 横山大観のコレクションで有名な近代日本画を中心とする美術館。2010年、パナソニックISがチケッティングシステムとゲートを納入。
2 森美術館:東京都港区 六本木ヒルズ 森タワー53階にある美術館。2009年、パナソニックISがチケッティングシステムを納入。
イベントや施設の雰囲気に合わせたゲートでスマートかつ柔軟な受付オペレーションでお客さまをお迎えできた。
短期イベントの運営にマッチしたITシステムが使え、しかも短い準備期間で対応できた。
「幕張メッセの床に穴をあけるわけにはいきません。持ってきて置くだけのゲート、そんなものは社内にまったく経験がありませんでしたし、おそらく業界初の試みだと思います」という中田氏にパナソニックISはSKIDATA社の自動ゲートを提案。「カッコいい。日本っぽくない感じも宇宙博にぴったり」と感じたそうです。SKIDATA社は欧州のスキー場では80%を超えるシェアを誇る自動ゲートのトップメーカー。同社のゲートを採用し、写真(左)のような仮設ゲートでお客さまをお迎えすることになりました。
本来、常設の施設であれば、チケット販売やバーコード体系など、事前にチケッティングシステムと整合させて準備を進めるのが一般的です。ところが今回は、エージェント各社の前売券などが既に市場に出回った状態、バーコード仕様も券面のデザインもそれぞれ異なります。これでは自動ゲートにかかりません。そこで、「当日券の入場者を自動ゲートで通し、前売券の入場者を別カウンターで受け付けるかたちにし、各社前売券に対し事務局側で振ったバーコード一覧からハンディターミナルで受付処理するようにしました」(中田氏) 前売券を手作業で扱ってしまうと、集計作業の効率性や精度に問題が残りますが、このシステムの追加で、受付の迅速化と正確な処理を両立。その売上は当日券の販売実績と共にチケッティングシステム内で一元管理することができました。
「3月にパナソニックISに照会し、見積り内容にOKを出したのはゴールデンウィーク明けでした」と中田氏。システムの構築・設置・テストにはわずか2ヵ月あまりというスピード導入。その間「現場オペレーターへのヒアリングやオペレーション研修もパナソニックISと実施」し、時間がなかったものの「ミスやトラブルはほとんどなかった」といいます。「会期終了間際のピーク時には一日一万人以上の来場があったが、まずは計算どおり。あれが手作業でやっていたら難しかったろうと思います」と中田氏はシステムの効果を評価します。
「宇宙博ほどの規模はそうそうありませんが、システム化の有効性は十分認識しました。今度やる機会があれば、次は前売りを始める前からやりたい。一からやれば思いもよらないシンプルな仕組みができるかもしれません」と笑顔で語っていただきました。
営業本部 開発営業グループ小野 咲子
今回は提案から見積、開発まで4ヵ月という短期間でしたが、システムにご満足いただけて大変うれしく思います。既に販売していた前売券をどう運用でカバーできるのか思案いたしましたが、当日券の発券・販売とその当日券を利用してのゲート通過、そして前売券や招待券対応をハンディでと上手く分けて運用できたおかげかと思います。 次回はぜひ前売の段階からお手伝いし、よりスムースな博覧会運営をご提供したいと思います。
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