導入事例

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン IT基盤をフルクラウド化~安定したサービス提供を実現

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン様(以下、GDO)は「事業成長に不可欠なITインフラの強化」を事業計画のひとつに掲げ、パブリッククラウドへの全面移行を実施。Microsoft AzureとAmazon Web Servicesの2つのサービスを基盤に選び、Webサービスのフロント基盤から基幹システムまでの全システムをネットワークレイヤーも含めてフルクラウド化するという大規模プロジェクトをわずか8ヵ月で完遂されました。

お客様データ

株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインはゴルフ用品のECサイト、ゴルフ場予約サービス、ゴルフファン向けメディアなど、ゴルフ分野に特化したワンストップサービスを提供する企業です。Webページビューは1億超/月を誇り、サービス会員数は既に300万人を突破するなど、飛躍的な成長を続けています。

導入ソリューション・導入商品

1.ITインフラをオンプレミスで持ち続けるというリスクを捨て去りたい。

数年に一度のリプレースが負担になる上、進化を続けるテクノロジーへの追従は困難…。
オンプレミスで持ち続けることによる負荷・制約が大きすぎる。

2.クラウドのメリットを十分に享受したい。

どれかひとつのクラウドサービスだけにこだわることはない。
適材適所で柔軟に組み合わせる「マルチクラウド」も選択肢のひとつ。

ゴルフダイジェスト・オンライン
経営戦略本部 本部長 CTO
渡邉 信之 氏

オンプレにする理由を探す方が難しかった

ゴルフに特化したネットサービスを展開するGDOにとって、ITインフラなくして同社のビジネスは語れません。パフォーマンスアップへの投資として、同社が選んだのは「パブリッククラウドへの全面移行」でした。経営戦略本部 本部長 CTOの渡邉 信之氏は、その背景を次のように振り返ります。

「ITインフラをオンプレミスで持ち続けることへのリスクを感じたのが大きな理由です。オンプレミスだと数年に一度のリプレース作業が負担になりますし、日々進化させることは難しい。その点、パブリッククラウドならリソースの拡張/縮小が簡単な上、自社で投資しなくても最新のサービスを利用できる。そういった柔軟性に一番期待しました」。セキュリティ面も、GDOの厳格なポリシーを十二分に満たす水準だったため、難なくクリアしたといいます。

柔軟なプラットフォーム選び

ゴルフダイジェスト・オンライン
経営戦略本部
インフラマネジメント室
室長 白尾 良 氏

クラウドサービスとしては、基幹システムであるSAP ERPの基盤にMicrosoft Azureを、フロントサービスの基盤にAWSを選定。経営戦略本部 インフラマネジメント室 室長の白尾 良氏は、マルチクラウドにした理由を「コストの合理性」だと語ります。

「当初は全てAWSの予定だったのですが、SAPのサーバー群の移設先の比較検討をしていたタイミングでは、AWS上でSQLサーバーを稼働させた場合のライセンス費用について先行きが不透明だった時期でした。そこでSAP ERP側のMicrosoft SQL Serverは同じベンダーのMicrosoft Azureに乗せれば解決できると考えたのです」。

ECサイトの注文当日出荷などサービス品質を落とさないために、両クラウド間のレイテンシ(通信遅延)はクリアすべき技術課題となりましたが、適材適所でプラットフォームを選ぶ柔軟な発想による決断でした。

BIG-IP VEの登場が背中を押した

どのレイヤーまでをクラウド化するかという課題もありましたが、これについてはクラウド版ロードバランサのBIG-IP VE(Virtual Edition)が解決策となりました。「オンプレミスの環境構成を大きく変えることなく、ネットワーク周りも含めて安全に移行できる。当社のシステムとクラウドの両方に精通しているパナソニックISから提案を受けたのが、フルクラウドに踏み切る実質的な決め手にもなりました」(白尾氏)。

1.業務に影響しない12時間で本番移行完了!

既存環境とクラウドを並列稼働させながらデータ移行したり、中間機として高性能マシンを用意するなどの工夫で通常48~96時間かかるところを業務に影響の出ない12時間で終わらせることができた!

2.安定稼働は当たり前。その先のパフォーマンスへ軸足を移せるようになった!

パナソニックISの運用保守で安定稼働が当たり前になり、人的リソース負荷が軽減。
インフラの理想形を追求できるようになった!

ゴルフダイジェスト・オンライン
経営戦略本部
ビジネスデザイン室
八巻 竜太 氏

小回りの利いた対応でプロジェクトを推進

プロジェクトは2016年6月にスタート。アビームコンサルティング株式会社がSAP ERP環境構築を担当し、パナソニックISがシステム基盤構築を担当しました。

ゴルフのオフシーズンである冬に本番移行したいという希望から、構築期間はわずか8カ月とタイトでしたが、経営戦略本部 ビジネスデザイン室の八巻 竜太氏はパナソニックISの対応を「小回りを利かせて作業してもらったので、課題にも迅速に対応してもらえました」と評価します。前述した両クラウド間のレイテンシについても、Azure ExpressRoute、AWS Direct Connect、Equinix Cloud Exchangeといった各種専用線サービスを組み合わせることで解決しました。

システム停止は8時間以内で!

一番の課題となったのはクラウドへの本番移行時間です。SAP ERPのクラウド移行には通常48~96時間のシステム停止を要しますが、ECサイトやゴルフ場予約サービスに大きな影響が及ぶため、GDOに許された時間はわずか8時間でした。これについてはデ-タ移行を数回に分け、システム停止しなくとも移行できる分は先に実施し、システム停止を伴う最終移行分はMicrosoft Azure上に高性能マシンを一時的に用意することで、12時間での移行に成功しました。

8時間には収まらなかったものの「フロントサービスは8時間以内にオープンし、バックエンドでSAP ERPの移行が完了してからフロントと連携させる手法を取ったので、お客様から見た停止時間は実質8時間。工夫した開け方でした」と渡邉氏は語ります。

「安定稼働」の次のステップへ

クラウド基盤については「オンプレミス時代よりも安定しています」と白尾氏。またMicrosoft Azureの運用をパナソニックISへ委託したため、管理コンソールを触らずとも希望を伝えればそれを実現できるようになっています。「何かあってもパナソニックISが巻き取って対応してくれるので人的リソース面で非常に助かっています。今まではきちんと動くかどうかを一番気にしていましたが、もはやそこは当たり前になって、その先のパフォーマンスに軸足を移せるようになったのは大きなポイントですね」(白尾氏)。

<システム構成図>

精力的な事業展開を変わらず支え続けるのが理想

柔軟かつ安定したクラウド環境を手にしたGDOが今後めざすのは「攻めのIT」。渡邉氏は「チューニングによってさらなるコストダウンとパフォーマンスアップを図りたい」と語ります。

「当社はこれからもどんどん新サービスをリリースしていきますが、インフラコストも同じだけ増えていくのではなく、運用保守は一定のリソースを保った状態、かつインフラも安定した状態が理想の姿です。そうした貢献ができるよう、色々なクラウドサービスをチョイス&カスタマイズしながら基盤強化に注力していきたいと考えています」(渡邉氏)

エンタープライズソリューション事業部 クラウド・運用サービス部 SI運用サポートチーム上本 健太郎本プロジェクトでは短納期でSAP ERPをMicrosoft Azureに移行する必要があったため、スピード感が大事でした。そのなかでGDO様は何事にも即断即決して頂いたこともあり、非常に進めやすかったと感じています。

移行においてはMicrosoft Azure特有のクセなどもあり、特にバックアップ周りでは苦労しました。

現在システムは安定稼働していますが、運用視点での改善も含め、更なる安定稼働やレスポンス向上、コスト最適化をご提案していきたいと考えております。

取材:2017年6月22日

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