導入事例

国立大学法人一橋大学 ネットブートPCシステムを導入~クラウドブートで運用負荷軽減&高速化

国立大学法人一橋大学(以下、一橋大学)では、図書館とPC教室を管理するネットブートPCシステムの基盤として、回線速度の向上を機にクラウドの利用を検討。「SINET5」や「リンクサーバ」を活用し、「持たないIT」と「高速起動」の両立を実現されました。ネットブートPCシステムには、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(以下、パナソニックIS)の「OSV」が採用されています。

※ SINET5:日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している情報通信ネットワーク。

お客様データ

文教

国立大学法人一橋大学

東京都国立市

一橋大学は、森有礼が渋沢栄一の協力を得て1875年(明治8年)に開いた商法講習所を源流とする、日本で最も伝統のある社会科学系研究大学です。ゼミナールを核とする少数精鋭教育を通し、卓越した人材を世界に輩出しています。

導入ソリューション・導入商品

1.新たなアーキテクチャとしてクラウドを取り入れたい。

サーバを手放し、メンテナンス対応からの解放など「持たないIT」のメリットを享受したい。

2.PCの高速起動は維持したい。

クラウドへ移行しても、PCの起動時間は最重要事項。学内にサーバを置くのと同程度の速度をキープしたい。

国立大学法人一橋大学
情報化統括本部 情報基盤センター 助手
松村 芳樹 氏

クラウドブートの検討を開始

一橋大学の図書館とPC教室を管理するネットブートPCシステムは、常に最新のネットワーク技術が投入されています。2011年には当時まだ高価であったSSDをいち早くローカルディスクに採用し、2015年には完全仮想化を実現。その後2019年のリプレースまでの間も、新たなアーキテクチャを模索していたと情報化統括本部 情報基盤センター 助手の松村芳樹氏は語ります。

「次はクラウドへ移行したいと考えていました。クラウドなら法定停電の際にわざわざ立ち会う必要がありませんし、今後仮にシステムを他キャンパスへ展開することになっても、本拠地の状況に左右されることなく運用できます」。

前回更新時はまだ起動時間に支障があり、授業などでは使えないという判断でしたが、国立情報学研究所(NII)が提供する学術ネットワーク「SINET5」の登場により回線速度が飛躍的に向上し、潮目が大きく変化しました。松村氏は早速、当時から利用していたネットブートPCシステム「OSV」の提供元であるパナソニックISに相談。SINET5のクラウド接続サービスを活用した「クラウドブート」の検討を開始しました。

「リンクサーバ」とSSDがあれば速度に支障はないと判断

検証を重ねた結果、学内にサーバを置くのと同程度の起動時間を実現できるようになりました。その際に利用したのが、OSVのアプライアンス製品である「リンクサーバ」でした。

「学内にリンクサーバを置き、そのキャッシュを利用することで遠隔地間でも問題なく起動ができるようになっており、また検証中にさらなる高速版がリリースされたため、これとSSDのローカルキャッシュがあれば、大元のシステムが学内になくても速度に支障が出ることはまずないと判断しました。検証時のパナソニックISの対応も確かな技術力に裏打ちされたもので、新しいことを精力的に試していくための心強いパートナーだと感じました」(松村氏)。

1.クラウド移行で運用負荷を軽減できた!

クラウドと学内のリンクサーバをSINET5で接続し、さらに既存のメールサービスなどとシームレスに連携。

法定停電の立ち会いが年間1日で済むなど、運用負荷の軽減を実感!

2.クラウドでも高速化を実現!

システムがクラウドへ移っても、リンクサーバのおかげで起動速度はオンプレミスの頃よりも高速に!

ディスクイメージ効率化のために言語設定で一工夫

国内でも先駆的なクラウドブートの導入。ネットブートサーバをクラウドに、キャッシュ用のリンクサーバを一橋大学にそれぞれ配置し、両者をSINET5でつなぐという構成を取りました。

またネットブートPCシステムには、ディスクイメージを効率化するためのある工夫を施しました。ログイン前に言語を選択させ、それによってOSのデフォルト言語設定を入れ替えることで、1つのディスクイメージで日本語/英語の両方に対応できるようになっています。

「普通だと日本語と英語でディスクイメージを2つ作ることになりますが、ディスクイメージを切り替えるとキャッシュを入れ替えてしまうので、せっかくの高速起動を十分に活かせない。このしくみなら1つのディスクイメージで済み、サーバリソースも軽量化できます」(松村氏)。

シングルサインオンで、既存のクラウドサービスも快適利用

ユーザープロファイルは環境復元を重視し固定プロファイルを採用しています。プロファイルの保存場所を一橋大学が契約しているクラウドサービス上に置くことで構築の負担を大幅に減らすことができました。

環境復元が適用されているとブックマークなど各ユーザーのデータがPCに残りませんが、一橋大学ではクラウドサービスのメールや個人領域フォルダを最大限に活用しているため大きな問題はないといいます。今回はさらにシングルサインオンのしくみを加え、PCにログインすれば自分のアカウントをすぐ利用できるようにしました。

「構築中にクラウドサービス側の仕様変更が何度かあったものの、パナソニックISは根気強く取り組んでくれました。ユーザーからは見えませんが、『これがあるから快適に使えている』という処理が今回のシステムには多く詰め込まれています」(松村氏)。

1つのディスクイメージで日本語/英語の両方に対応できるよう工夫したブート画面

オンプレミスの頃よりも高速化

こうして、2019年3月にクラウドブートが稼働。システムがクラウドへ移っても、起動速度はオンプレミスの頃と同等、むしろリンクサーバのおかげで高速化していると松村氏は語ります。

「SINET5との親和性が非常に良かったですね。2019年は電源設備の入れ替えが多く、例年になく停電がありましたが、我々が立ち会ったのは1日だけで済みました。学内に設置しているリンクサーバだけは電源が落ちますが、あくまでキャッシュ用なので稼働には問題なく、運用面の負担がありませんでした」。

※ ユーザープロファイル:ログインユーザー向けの環境個別設定のこと

起動方法を自動選択させたい

次期更新を待たずして、早くもさらなるユーザビリティ向上に意欲的な松村氏。今着目しているのは起動方法だといいます。

「普段はリンクサーバから高速起動させ、不具合発生時はクラウド側から直接起動させるというのを自動で行えるようにしたいです。システム更新は一度終えると4,5年先までそのままというケースが多いですが、その間にユーザーの需要も変わってきます。パナソニックISは普段からちょっとした相談ができ、その都度信頼できる回答が返ってくるので、今後も期待しています」(松村氏)。

エンタープライズソリューション事業部 インフラソリューション部今井 規善 一橋大学様は以前から新しい技術に対し積極的にチャレンジされており、技術動向を大変深く調査・研究していらっしゃいました。今回の導入に際しても新たな挑戦が多く、技術的なハードルがありましたが、松村様をはじめとする教職員の方々、また関係会社の皆様の多大なるご協力のおかげで無事サービスインを迎えることができました。
学生さんがいかに便利に利用できるかを熟考した案件で、私自身、技術面やユーザを意識した姿勢という意味で多くを学ばせていただきました。今後もさらなるお役立ちができればと考えております。

取材:2020年7月3日

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