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Vol.032 ITが設備に宿す"新たな価値"M2Mで次世代ビジネスを切り拓く 「設備連携ITソリューション」

2013年8月30日 「オンリーワン」
特集 : ITが設備に宿す“新たな価値”M2Mで次世代ビジネスを切り拓く 「設備連携ITソリューション」

オンリーワン

代表取締役社長 前川一博の写真

近年ITのコモディティ化が加速度的に進み、IT環境はどんどん安価に、そして容易に整備できるようになりました。お客さまにとっては、企業規模の大小を問わず平等にそれらの恩恵を享受できる時代。逆にIT企業にとっては、差別化が難しく非常に厳しい時代の到来と言えます。

しかし、このような環境においても、まずは「当社ありき」でご相談・ご検討いただけるお客さまがいらっしゃいます。当社のサービスに他社サービスを並べて比較する以上のものを感じていただいているお客さまだと心から感謝しています。

そもそも競争の理とは別次元。多くのお客さまに当社のサービスが「オンリーワン」だと感じていただけるためにも、当社は常に新しい技術に挑み、ノウハウを培いながら「お客さまにとっての最適解をご提案する」という価値をお届けし続けなければなりません。

お客さまにとってのオンリーワンの存在でありたいと思い続けること、そして、お客さまにとっても当社のメンバーにとってもDelightな関係を一つでも多く育んでいくこと。それが私たちの目標です。

ITが設備に宿す“新たな価値”M2Mで次世代ビジネスを切り拓く 「設備連携ITソリューション」

ITが設備に宿す

機器にセンサーや通信回路を取り付け、自動収集したデータを業務に活用する―。

M2M(機器間通信)は約10年前から実用化されている技術ですが、センサー技術の進化やクラウドの広がりに伴い、ここ数年で急激に成長しています。
パナソニックISでも、M2M技術をベースとした「設備連携ITソリューション」を展開中。広がりを見せる新しい機器活用のカタチをご紹介します!

設備のポテンシャルを最大限に引き出す、設備連携ITソリューション

センサー大国・日本。世界の4分の1のセンサーを日本が利用しているという説もあるほどで、今やあらゆるモノのデータがセンサーによって収集可能となっています。当社の「設備連携ITソリューション」は、こうして得られたデータをモニタリングすることにより、設備のもつポテンシャルを最大限に引き出すもの。稼動設備を遠隔監視・制御したり、収集したデータを省エネやマーケティングなどに活用することが可能です。

M2Mを実用化した設備連携ITソリューション

EV用充電スタンドも蓄電池もセンサー活用でもっと便利に・確実に

例えば、今年3月から大型の補助金制度が新設された電気自動車(EV)用充電スタンド。EV利用者にはあると便利ですが、設置オーナーも得するしくみがなければ普及は進みません。

そこでパナソニックISでは、充電量を計測し自動課金するだけでなく、充電スタンドの利用状況を見える化できる運営支援システムをご提供しています。設置オーナーが小売店などであれば、店舗のポイントカードとの連携もニーズにあわせて対応可能。利用客の来店動向をチェックしたり、利用客へのポイント還元を行うことができるのです。

そのほかには、非常用電源として活用できるリチウムイオン蓄電システム。「もしもの時」も確実に稼動できるように制御装置を遠隔監視し、異常がないかどうかを24時間見守ります。万が一の場合もすぐに電話通知や修理サービスで対応し、安心の災害対策環境を作ります。

開発者が語る!

設備連携I Tソリューションができるまで

現在さまざまな機器に展開している設備連携ITソリューションですが、始まりは自社データセンターのエネルギー管理でした。
ノウハウを蓄積しながら事業へと育ててきた道のりを開発者が語ります。

自社データセンターのエネルギーマネジメント活動から環境監視ソフトウェア「eneview」が誕生

データセンターイメージ

最初のきっかけは、2008年より開始した自社データセンターのエネルギー管理でした。データセンターの安定運用とエネルギーコスト削減を両立するため、温度・湿度も含めた適切な環境監視が課題となっていたのです。サーバだけでなく空調なども含め莫大なエネルギーを消費するデータセンターですが、むやみに節電すればサーバ停止にもつながりかねません。

そこでパナソニック電工(当時)製の計測機器で収集していたデータを活用し、消費エネルギーをシステム上で見える化することにしたのです。エネルギーモニタや温度センサーのデータをもとに空調や照明の稼働状況を分析し、調整・改善を行いました。その結果、当社では200万円以上のコスト削減に成功。約2年の開発を経て、2010年、環境監視ソフトウェア「eneview」として発売に至りました。発売当初はデータセンター向けの商品でしたが、現在は一般施設にも対応。節電を目的とする一般企業や教育機関などのお客さまにご好評いただいています。

パナソニック製機器に「eneview」のしくみを応用

田沢湖畔を運行するEVの観光タクシー
技術開発部門 新事業推進グループ グループマネージャー 藤田 桂一

親会社であるパナソニック株式会社ではLED照明から充電・蓄電設備まで多彩な製品を展開しています。「eneview」の基盤となっているM2M技術をこれらにも適用すれば、より便利でビジネスとしても今までにないものを生み出せると考えました。

タイミングよく声を掛けていただき、2011年より「あきた次世代自動車実証コンソーシアム」による電気自動車(EV)の普及に向けた実証実験に参加。EV用充電スタンドの利用状況を把握できるシステムを構築しました。

苦労したのはデータの吸い上げ方。当時の充電スタンドの用途はあくまで充電のみ、データ収集については想定されていなかったのです。そこで「eneview」のしくみを応用し、充電スタンドにエネルギーモニタを組み合わせてデータを収集することにしました。

今年4月にリチウムイオン蓄電池の遠隔監視・エラー通報機能を開発しましたが、この時は監視サービスの企画段階から議論に参加しました。機器側とシステム側、双方の意見を織り込みながら、非常に効率良く開発を進められたと思います。

センサーはひとつの機器のためだけに動いているのが普通。これをシステムでいくつも束ねれば、活用の幅はぐんと広がります。今後も充電スタンドの満空情報をマップ表示したり、蓄電池の充電効率を管理するなど、新たな活用法を打ち出していくつもりです。

あいえす☆うちのBOSS<ボス>

「今号のボス」ESサポート本部 グローバルサポートセンター センター長 冨江 庄一

今回は当社一番の国際派・グローバルサポートセンターに潜入。センター長の冨江庄一について、入社5年目の岡本達矢が紹介してくれました。

「グローバルサポートセンターでは、パナソニックグループの輸出入システムと海外拠点で使う基幹システムを主に扱っています。海外拠点は中国をはじめインド・アジア・欧米など広く、お客さまとは英語でのやり取りがほとんどですね。冨江さんは、やるべき仕事は任せてくださるし、本当に困った時は上司としてフォローしてくださいます。若手社員が多い部署ですが、皆自分らしく仕事に打ち込めていますよ」。

海外出張も「若いうちからどんどん行かせてもらっている」と語る彼。「『まずは現場を見ろ』という冨江さんの方針のもと、現地へ伺ってお客さまと直接顔を合わせるようにしています」。当社ではビデオ会議も活用していますが、最初に現場の空気を共有することで、プロジェクトをスムーズに進められているそうです。

ESサポート本部 グローバルサポートセンター 岡本 達矢

「海外の現場を自分の目で見るようになり、グローバル意識もずいぶん高まりました。まずは英語力強化から。冨江さんのように、英語でも日本語と遜色ないくらい話せるようになりたいですね」と、今後の抱負も教えてくれました。