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2015年11月4日、東京で「レッドハット・フォーラム 2015」が開催されました。
レッドハット社はオープンソーステクノロジーを基軸としてグローバルにビジネスを展開する企業です。
オープンソースへの認知度・注目度が高まり、企業のシステムへの適用も増加するなか、同社のイベントへの来場者は増加の一途をたどっており、7回目の開催となった本フォーラムの来場者は約1,700名にも及んだのだそうです。
「ENERGIZE YOUR ENTERPRISE~新たな可能性と時代を創る"力"がここに。」と題された本フォーラムのゼネラルセッションには、4人の経営者が登壇。この場で異口同音に語られたのは「イノベーション」に対する心構えです。
イノベーションは、何をきっかけに起こるのか。ITが果たす役割とはどのようなものか。そしてITに携わる私たち自身はイノベーションに対してどう備えればよいのか。ゼネラルセッションで垣間見えたのは、これらの疑問に対するヒントでした。
まず「オープン」という視点でイノベーションを捉えたのは、米国レッドハット社長兼CEOのジム・ホワイトハースト氏。
UberやAirbnbなどの企業がオープンソースソフトウェア(OSS)によるITシステムを構築している点に触れ「イノベーションはユーザーのビジネスそのもので起きている。ITはこれらイノベーションを支えるしくみとなっており、オープンであることが欠かせない」と指摘しました。
では、イノベーションを起こすために必要なITに必要なものとは何でしょうか。そのキーワードとして「仕掛けと制御」をあげたのは、株式会社大和総研/株式会社大和総研ビジネス・イノベーション代表取締役副社長の鈴木孝一氏。
欧州のIT事情を例に「これからのITは道具ではなく"仕掛け"。欧州では共通化・オープン化が進んだことで、変化に耐え、柔軟性のある仕組みになっている。ITで作った仕掛けをいかにうまく利用するか、制御するかの工夫が必要だ」と強調しました。
続いて、当社代表取締役社長の前川も登壇。
前川の視点は「Demand Side Logic」。「ITはDemand Side、すなわち、顧客視点であることが最も重要であり、イノベーションもそこから生まれる」と語りました。これは、ジム・ホワイトハースト氏が指摘にあった「ユーザー主導のイノベーションが進んでいる」という点にも合致するのではないでしょうか。
最後に米国レッドハット副社長兼ゼネラルマネージャー OpenShift & Atomic Enterprise製品部門のアシェシ・バダニ氏は、モバイル、IoT、クラウドというITの新潮流からデジタルビジネスの将来像を説明しました。また、氏は古代ギリシアのクロイソスの故事になぞらえてこうも述べました。
「クロイソスは『ペルシャに軍を派遣すれば巨大な帝国が滅びるだろう』という予言者の言葉を信じ、派兵したところ、戦争に負けてしまった。巨大な帝国とは、自分の国ことだったのである。このことをITの視点で見たとき得られる教訓とは『適切な調査を行い、リソースとスキルの備えをしなければならない』ということと、『たとえ答えが分かったと思えても未来の予測は難しい』ということだ。デジタルビジネスの未来を描く際には、これを忘れてはならない」
「IT革新=イノベーション」だった時代は過ぎ、今はビジネスそのものの仕組みの変化がイノベーションの中心となりつつあります。これまでの常識が全て覆るような変化に対してITでどう貢献していくのか。それぞれの経営者のイノベーションに対する意識も、この点に移っているようです。
一見切り口は違うように感じられますが、その基軸になるものは共通しているのではないか?そう感じるセッションでした。
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