導入事例

秋田県仙北市 これからの電気自動車~電気自動車の世の中でITが担う役割とは?

2010年から秋田県では「あきた次世代自動車実証コンソーシアム」による電気自動車(EV)の普及に向けた実証実験が行われています。
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(以下、パナソニックIS)は「あきた次世代自動車実証コンソーシアム」メンバーとして通信システム(普通充電器)の実験に参加しています。

お客様データ

官公庁

秋田県仙北市

秋田県仙北市

導入ソリューション・導入商品

~これからの電気自動車~ 電気自動車の世の中でITが担う役割とは?
『あきた次世代自動車実証コンソーシアム』に参加して

エコで注目の次世代自動車(EV)

田沢湖の潟地区にある「思い出の潟分校」

今“電池”を動力源とする「電気自動車(EV)」が「エコにつながる」と、大きな注目を集めています。
秋田県立大学システム科学技術学部の礒田陽次教授は「充電用の電気は発電所で石油を使って作られますが、ガソリンエンジンのような内燃機関よりもエネルギー効率が良いのです。トータルでもCO2排出量が少ないと言われていることがエコとされる理由でしょう」と分析。
このほか「静音」「安定感」「加速が良い」などの特徴を持つEVですが、一般家庭の電力使用量2日分に相当する電気を蓄えられることから、東日本大震災後には“電源供給源”としても期待されています。


EV普及の課題 ~インフラの充実とITの役割~

充電の様子。電気自動車(EV)は日産リーフ
ICカード認証式の充電スタンド
(パナソニック製)

一方、コストや走行距離が普及の障壁とされるEV。礒田教授は「最大の課題は“充電スタンド”、それも数分で充電できる急速充電器の普及でしょう。研究が始まった“非接触式(ワイヤレス)充電器”の実用化も待たれます。課金方法も課題です」と、インフラ整備のための技術革新も急務であると指摘します。
では、ITは課題解決に貢献できるのでしょうか。礒田教授は、充電スタンドが少ない現況から「周辺の充電スタンド情報を提供するシステム」の必要性を指摘。また、利用者の多様化を念頭に「万が一の際、充電スタンドの画面から問い合わせができる仕組みがあれば安心感が増すでしょうね」と話してくれました。


実証実験で見えてきたEVの課題 ~秋田県仙北市の担当者に聞く~

田沢湖畔と伝説の美少女たつこ姫のブロンズ像
秋田県仙北市 総務部 政策推進課  主任
武藤 寛幸 氏

「あきた次世代自動車実証コンソーシアム」に参加する自治体のひとつ、秋田県仙北市。“小京都”角館や水深日本一の田沢湖など日本有数の観光地で有名ですが、冬は全地域で平均気温が氷点下になり、深い雪に覆われてしまう気候の厳しい土地柄。仙北市総務部政策推進課主任の武藤寛幸氏は今般の実証実験への参画について「極寒かつ積雪量の多い地域における電気自動車のありかた、課題を明らかにするため」と説明します。2011年1月、公用車、観光タクシーなどに3台のEVを導入し、データ計測を開始。
早々に浮き彫りになったのは「暖房に電力を大量消費してしまう」という課題でした。ヒーターをつけたままでは、隣接する大仙市との往復約80kmの走行さえ難しいというのです。都市間の距離が離れており、一度の走行が長距離になる仙北市ならではの厳しい現実でした。
課題を解決し普及を進めるには、充電スタンドの増設もさることながら、電池の性能向上、メーカー互換性、規格統一なども重要だと武藤氏は指摘します。課題ばかりに思える現状ですが、EVの特長として謳われる「排ガスが出ない」「音が静か」という点は、試乗会でも非常に高い評価を得たとのこと。「EVの世界は日進月歩。急速に進化しており、次々に課題とされてきた部分が解消されているように感じます」と、武藤氏は今後の展開に期待をこめて話してくれました。


EV用充電スタンド運営支援システム ~パナソニックISの“役立ち”とは?~

パナソニックIS
新事業企画グループ
藤田 桂一

「あきた次世代自動車実証コンソーシアム」のEV実証実験では当社のeneview(エネビュー)を用いた“充電スタンド運営支援システム”をご利用いただきました。eneviewの役割は充電スタンドでの充電量を収集し、そのデータをもとに課金する仕組みの検証です。その結果、技術的には実現可能であるものの、実用化に向けては課金情報の提供に加え、回収モデル(請求書発行やクレジットカード決済など)も含めたトータルでの仕組みづくりが必須だと感じています。また、インフラ普及には「充電スタンド保有者」「ドライバー」「(充電スタンドのある)地域」それぞれにメリットが必要です。礒田教授のご指摘にあった周辺の充電スタンド情報はもちろん、会員情報による囲い込み、充電待ちの間に行ける近くの観光地やレストランなどの情報提供にITは力を発揮するはずです。この取り組みで得たノウハウをeneviewのソリューションに活かしていきます。

取材:2011年12月12日

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