2014年9月29日インタビュー

インフォテリア平野社長対談企画 ~ さらに拡がるASTERIAの世界 ~クラウド・モバイル機器など新たな「つなぐ」価値の創出に向けて

インフォテリア株式会社取材日:2014年07月31日

右から、インフォテリア株式会社
代表取締役社長  平野 洋一郎 氏、
当社取締役 大西 元

インフォテリア平野社長対談企画 ~ さらに拡がるASTERIAの世界 ~クラウド・モバイル機器など新たな「つなぐ」価値の創出に向けて

インフォテリア株式会社

【Corporate Data】

企業名:インフォテリア株式会社

URL:http://www.infoteria.com/

所在地:東京都品川区大井1丁目47番1号 NTビル10F

クラウドを利用した業務システムの増加やモバイル機器の業務への展開、グローバル化の進展は、企業の扱うデータを他のシステムや機器に連携して活用するニーズを高めています。このようなデータ連携を実現するEAI/ESBツールであるASTERIAは、日本国内シェアNo.1を8年連続で達成(※1)するなど高い評価を得ており、当社はASTERIAの マスターパートナーとして、2003年度~2013年度の累計導入実績No.1(※2)を達成しています。     今回、開発元であるインフォテリア株式会社 代表取締役社長/CEOの平野 洋一郎氏に、ASTERIAの歴史を振り返りながら、その強みや今後のEAI/ESB市場の展望、それに向けた挑戦についてお話を伺いました。聞き手は、平野氏とともにEAIソリューション事業を推進してきた、当社取締役の大西 元です。    

※1:テクノ・システム・リサーチ「2014年ソフトウェアマーケティング総覧 EAI/ESB 市場編」より
※2:インフォテリア株式会社の調査より

ASTERIAビジネスの歴史について

“社会を繋ぐ”ことを目的にASTERIAは生まれた

平野:1990年代にさまざまな情報システムが生まれる中で、それらのシステムを繋ぎ、企業のビジネスを繋ぎ、ひいては“社会を繋ぐ”ということをやりたいと考えていました。その手段として当時まだ新しい技術であったXMLに目をつけ、専業メーカーであるインフォテリア株式会社を立ち上げたのが1998年のことです。    

平野:会社創立時、SCMシステムのRosettaNetや購買システムのAribaなどが、企業のシステムとして先行していました。まずはこの領域を繋ぐことから始めることにして作り上げたのが、「ASTERIA PLANET」という製品でした。    

大西:今はASTERIAというとソフトウェアですが、当時のASTERIA PLANETはボックス型のハードウェアでした。連携するシステムに対応したソフトウェアがあらかじめ搭載されていて、HUB的に繋ぐとデータのやり取りができるようになるというもので、そのコンセプトには大変驚きました。    

平野:XMLの認知度が低かったので、まずはハードウェアという目に見える形で認知してもらおうと考えたのです。当時は「Ciscoのルーターを繋げばインターネットのやり取りができる」という認識が広がっていたので、「ASTERIA PLANETを繋げばさらに上位のビジネスのやり取りができる」というコンセプトで作りあげました。株主の方や支援者の方からは、「ソフトベンダーじゃなかったのか」と驚かれました(笑)

日本発のソフトウェアを世界に発信したい

平野 洋一郎 氏平野:大西さんと出会ったのは2000年頃でしたね。    

大西:当時、松下電工(現:パナソニック エコソリューションズ社)では電子調達システムの検討を進めていたのですが、当社は松下電工のITを担う立場として、電子調達システムの導入にとどまらず、他のシステムとの連携に使える仕組みを模索していました。その結果、ASTERIA PLANETにたどり着いたのです。    

大西:ASTERIA PLANETを選んだ理由は二つあります。まず一つは機能や汎用性の面で、ベンダーやOSに依存しないXMLがその後のブームになると考えており、そのXMLに特化した商品として合致したことがあります。そしてもう一つは、平野さんの「日本発のソフトウェアを世界に発信したい」という思いの強さでした。このような強い志を持つ人と一緒にやりたい、新しいことを起こしたいと感じました。    

平野:高いシェアを占めるソフトウェアの多くは外資系企業が作り上げたものです。私は是非、日本で作ったものを世界中で使って欲しいと考えていました。会社設立以前の経験で、自分たちの作ったものは受け入れてもらえると確信を持っていたのですが、ベンチャー企業に対するエンドユーザーの見る目は厳しいものがあります。そのような中で、松下電工インフォメーションシステムズ(現:パナソニック インフォメーションシステムズ 以下、パナソニックIS)という知名度のある企業に理解をいただき、一緒にビジネスができたことはとても大きな意味を持っていました。    

“汎用性”がASTERIA飛躍の鍵に

大西 元平野:XMLの規格が整備され、汎用的に使える環境が整ってきたことで、ハードウェアから脱却してソフトウェアとして繋げられるようにシステムを作り直しました。2002年6月に発売されたこの「ASTERIA R2」が、今のASTERIAの原点と言えます。    

平野:それまでは特定用途に向けたとして、その市場に依存していました。しかし汎用性を持つことで用途・市場が大きく広がり、2006年以降EAI/ESBの国内シェアNo.1を8年連続で達成、4,500社を超える企業にお使いいただけるまでになっています。    

平野:また、パナソニックISを始めとするパートナーの支援も大きかったですね。特にパナソニックISはASTERIA PLANETの時代から一緒に取り組んでいただいていたので、理解も非常に進んでおられてたくさんのアイディアをいただきました。    

大西:当社は1999年に独立したばかりの会社でしたので、既存のビジネスにとらわれず新しい仕掛けを次々とやっていくことができたのだと思います。色々とわがままな要望もあったかと思いますが(笑)、それをどんどん受け入れていただきました。    

平野:初期開発の段階で、お客さまのニーズを汲み取って伝えていただけたことは、ASTERIAを作り上げるうえで大変貴重なものだったと思います。    

ASTERIAビジネスの強みとは

完全ノンコーディングの仕組みが俗人化の防止と開発スピードの高速化に貢献!

平野:情報を繋ぐというインターフェースの役割をASTERIAが担うわけですが、情報の繋ぎ元や繋ぎ先には銀行のシステムなど、自社の管理範囲ではないものもありえます。そのシステムに変更があればインターフェースの改修が必要ですが、インターフェースの改修に時間がかかればその間ビジネスが止まってしまうことを意味します。変化に対していかに早く対応するかがインターフェースには求められていると考えました。

ASTERIA フローデザイナー
GUIによるノンコーディングシステム
(画面はASTERIA WARP4.8のもの)
※画像をクリックすると大きく表示されます
平野:この課題に対して実装したのが、GUI(グラフィカルユーザインターフェース)を用いた完全ノンコーディングシステムでした。webMethodsなどもGUIを用いた部分がありましたが、完全なノンコーディングではありませんでした。ASTERIAは画面上に表示されたフローを変更するだけで、フォーマットやプロトコルの変換などが簡単にできます。この点を多くの企業に評価いただいています。

大西:当社が現場で特長として説明しているのも、完全ノンコーディングという部分です。コーディングが必要であれば、繋ぎ元と繋ぎ先それぞれのシステムを詳しく知っておかなければ実装が難しいのですが、ノンコーディング化されることで、それほど深く知らなくてもインターフェースを作ることができます。これにより、ベテランのSEでなくても構築ができるようになりますし、後日の改修も容易になります。

大西:さらにもうひとつのメリットとして、開発スピードの高速化が挙げられます。コーディングが不要なので開発工数が削減できるのはもちろんですが、繋ぐシステムがN:Nという場合でも、ASTERIAがハブとなることでその対応工数を抑えることができます。このような点が、様々なお客さまに受け入れられているポイントだと思います。

平野:インターフェースは変化が激しいので、誰でも対応ができるように属人化させないというコンセプトを重視していました。開発スピードの高速化についても大西さんの仰るとおりで、その点を早い段階から評価いただいていたことは、大変ありがたかったです。

今年度の注力分野について

Amazonなどのクラウドの活用を強化

平野:クラウドの普及によって、ソフトウェアやハードウェア、ネットワークまでもが借り物となってきており、企業の持ち物として残るのはデータだけになると考えています。このデータをどう扱いどう繋いでいくのかが企業ITの肝になる、そこでASTERIAの重要性はさらに増していくことでしょう。    

平野:それを見据えてASTERIAでは、2010年に発売したバージョン4.5から、Amazonなどのクラウド対応を強化しています。これはIaaSとしての利用だけでなく、ASTERIAから直接クラウドのサービスを利用できるようにして、より使いやすく、よりユーザー自身が活用できる形にしていこうとしています。    

大西:AmazonのAWS(Amazon Web Service)などのクラウドサービス活用に企業のニーズはあると思います。しかし全てがそれで満たされるわけではなく、企業が持つシステムや他のクラウドとの連携は必ず必要になってくると考えています。そうした企業にとって、ASTERIAが持つ多くのクラウドとの連携機能は大きく役立つのではないでしょうか。    

大西:当社はASTERIAのオリジナルアダプタを4つ発売しましたが、一番好評をいただいているのがSalesForce連携のアダプタです。このことからも、クラウドをつなぐというニーズは急速に伸びていると感じます。当社もこの部分のサポートを強化していきたいと考えています。    

海外でのサポートや販売チャネルも充実

平野:日本企業のグローバル化が進展しています。取引先が海外であったり、あるいは自社の拠点が海外にあったりと、日本だけで事業が完結している企業は少なくなっているのではないでしょうか。以前よりその部分のサポートについても求められてきており、しっかり対応していこうと考えています。具体的にはシンガポールに新たな拠点を設けて、東南アジアを中心としたチャネルの拡充・強化を図ります。

 

未来の展望について

モバイルデバイスの活用など、新たな環境でのサービスを強化

ASTERIAインタビュー       平野:タブレットやスマートフォンの普及に伴い、営業やフィールドの現場において、モバイルデバイスの活用が進んでいます。また、現在はまだ個人向けの認識が強い時計やメガネなどのウェアラブル端末についても、いずれビジネスで使われるようになるでしょう。こうしたモバイルデバイスとの情報連携が重要になってくるだろうと考えています。例えば基幹システムのレポートが自動的に抽出・レポート化されて配信されるようなことが考えられます。    

大西:インフォテリアはモバイルデバイス向けのコンテンツ管理システムとしてHandbookを持っています。実はHandbookの発売直後に、ASTERIAとHandbookをいつ連携させるのかという質問をしたことがあります。この連携アダプタが誕生した今、ASTERIAとHandbookの組み合わせはインフォテリアの最強のツールになるのではないかと感じています。    

平野:大西さんの反応は早かったですね。連携アダプタの発売当初、他の会社からは「何に使うのか」といわれたりもしました(笑)。最近ようやくわかってもらえるようになってきました。    

大西:ビッグデータなどの言葉が広がる現在、そのデータを現場の従業員やBtoC事業に活用することが必要です。ASTERIAだけではできなかったこの部分を、Handbookと組み合わせることで活用が実現できます。これはASTERIAの新たな役割の発揮になるのではないでしょうか。    

平野:導入いただいている企業が4,500社を超えたとはいえ、国内で100万社にも上る企業数からすると、まだ多くはありません。繋がっていないものはたくさんあります。そこに訴えかけていくには、タブレットやクラウドのような新しいプラットフォームでどうサービスを提供できるのかというところが大切になってくると思います。その施策として、AmazonのAWSのクラウド環境上でASTERIA体験版の提供を開始するなどの取り組みを始めています。    

機器や設備などの膨大な情報を扱う基盤に

大西:当社のASTERIA販売実績は、300社を超えました。さらなる拡大を目指すにあたりキーとなるのは「M2M」ではないかと考えています。既に当社では、電気自動車の充電スタンドからの情報や電力需要の情報、当社がサポートする集客施設の設備情報などのデータがデータセンターに蓄積されているのですが、こういった膨大なデータを繋ぐというニーズが必ずあり、そのツールとしてASTERIAの活用に期待しています。    

平野:その方向性は合致しています。様々なものがインターネットに接続されるIoT(Internet of Things)が謳われる今、それらの情報を扱うためのセキュリティなどのゲートウェイが必要と考えており、開発を進めている最中です。「Gravity」(グラヴィティ)と呼んでいるこのソフトとASTERIAでインプット側を管理し、Handbookを利用してアウトプットしていく、この流れは今後パナソニックグループなどが展開していく機器のマネージメントにも貢献できるのではないかと思います。    

ASTERIAインタビュー

大西:B to CからB to B (to C)への転換を図っているパナソニックグループには、そのコンセプトが活躍できるところはたくさんあると思います。既にASTERIAが活用されている事業もたくさんあるのですが、さらにITでの事業貢献としての活用を考えています。2020年のオリンピックでも幅広く貢献ができればと思います。    

平野:ASTERIAがオリンピックを支える基盤として活躍している、そんな姿を目指していきたいですね。    

大西:今日はどうもありがとうございました。    

平野:こちらこそどうもありがとうございました。    

平野 洋一郎氏のご紹介

インフォテリア株式会社 代表取締役社長/CEO。XMLの将来性に早くから注目し、1998年に国内初のXML専業ソフトウェア会社として同社を創立した。XMLの普及や技術者の育成にも力を注ぎ、XMLコンソーシアム副会長などの公職を歴任。現在もMIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア)コンソーシアム理事長やXML技術者育成推進委員会副会長、先端IT活用コンソーシアム副会長などを務めている。

インフォテリア株式会社
MIJS
XML技術者育成推進委員会
先端IT活用コンソーシアム

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