2015年3月13日

製造業向け仮想デスクトップ最新事例ご紹介大阪セミナーレポート ~ 「HP Moonshot System」

製造業向け仮想デスクトップ最新事例ご紹介セミナー

開催日時:2015年2月20日(金)

開催場所:大阪市北区パナソニックIS本社

製造業では、CADなど負荷の高い業務には課題のあった仮想化も、デスクトップ仮想化"Hosted Desktop Infrastructure(HDI)"とそれを支えるHP社の戦略的フラッグシップモデル「HP Moonshot Systerm」 によって、無理なく仮想化を実現。

本セミナーでは、HDIの詳細をご紹介するとともに、いち早く社内導入に踏み切ったパナソニック インフォメーションシステムズの事例、さらに、事故が起こる前に実施しておくべき製造業向けセキュリティ対策のご提案など、仮想デスクトップにより製造業の業務環境を変革する要諦を紹介しました。

【プログラム】

【15:05-15:45】 ハードウェア占有型仮想デスクトップ“HDI”を実現する「HP Moonshot System」徹底紹介!

日本ヒューレット・パッカード㈱ Moonshot ビジネスディベロップメントマネージャー 阿部 敬則 氏

【15:45-16:25】 仮想デスクトップ環境“快適化”事例~パナソニックISのシンクライアント取り組みの歩み~

パナソニック インフォメーションシステムズ グループリーダー 高垣 義男

【16:35-17:05】 最新事例のご紹介設計・製造部門の重要データはこう守る!

パナソニック インフォメーションシステムズ シニアスペシャリスト 田中 雅弘

セミナーレポート

「ハードウェア占有型仮想デスクトップ“HDI”を実現する「HP Moonshot System」徹底紹介!日本ヒューレット・パッカード㈱ Moonshot ビジネスディベロップメントマネージャー 阿部 敬則 氏
日本ヒューレット・パッカード社 阿部 敬則 氏

冒頭のセッション「ハードウェア占有型仮想デスクトップ“HDI”を実現する「HP Moonshot System」徹底紹介!」では、日本ヒューレット・パッカード社の阿部敬則氏が登壇。

ヒューレット・パッカード(以下、HP)社は、1939年に米国で設立、早い段階からグローバルに事業を展開する中で、1963年、日本にアジア初の拠点を設立。古くは世界初の卓上関数計算機、最近では世界初の完全水冷式のHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)システム「Apollo 8000」を、また、PCやプリンタ、サーバやストレージ等など、あつかう製品は多岐にわたり、企業向けにはシステムインテグレーションやアウトソーシング事業も手掛けるグローバル企業です。「Invention(インベンション) という言葉がまさにぴったりではないでしょうか。

そのHPが新たに打ち出した戦略 「ハードウェア占有型仮想デスクトップ”HDI”」と、その戦略を実現する製品「HP Moonshot Systerm」。 阿部氏がセミナーで講演したHPの新たなインベンションについて、要約して、ここに紹介します。


クライアント仮想化

ワークスタイルの多様化やBYODによるマルチデバイス化、情報漏えいリスク対策、PC運用管理のシンプル化など、様々なニーズからクライアント仮想化は増え続けています。調査会社によると、2017年までに法人端末の45%ぐらいはクライアント仮想化になるだろうということです。また、「BYODやリモートアクセスが主流に」「マーケティングツールとして動画は必須に」「CAD業務でも使いたい」など、2、3年前と今を比較すると、クライアント環境も大きく進化を遂げていると阿部氏はいいます。

そのような状況の中で、ユーザーのニーズを満たすシンクライアントを実現するとどうなるのかというと、 「予算を大幅にオーバーしてしまう」、その結果「これではシンクライアント化はできない」とIT管理者は判断するしかなく、では実現可能なシンクライアントは?というと、「予算内には収まるが、スペックを犠牲にするしかない」、その結果「PCが遅いのは致命的」とユーザーは不満を抱えたままに。ユーザーの要求する性能に対してITの予算が見合わないということが、従来のVDI方式のシンクライアントソリューションの最大の課題になっているということです。


顕在化したVDIの課題

1990年代から利用されているSBC(Server Based Computing)方式のシンクライアントは、複数のユーザーが同時利用、ただし全面シンクライアント化が難しいという課題がありました。それが2009年ごろから普及したVDI方式では、仮想化技術により、1台のサーバーで複数OSが動作可能に。各ユーザーがOSを占有できるため、動かないアプリがほぼ無くなり、全面シンクライアント化を実現。ただし、費用をおさえるためにスペックを犠牲にして実現したVDI方式のシンクライアントには、次の課題が存在すると言います。

● 性能を維持するために、OSの便利機能が使えない
● 動くには動くが、PCと比べてスムーズには動かない
● クライアントソリューションなのにインフラのスキルが必要


【画像をクリックすると拡大表示します】
※日本HP社より掲載許可を頂いています。


新たなアーキテクチャー「HP Moonshot System」

負荷の高いアプリケーションが増加する一方、スペックを押さえて実現しているVDI。たとえパフォーマンスに不満があっても、セキュリティ対策からそのVDIを使わざる得ないという企業も多いのではないかと思います。そこでHPは、新しいシンクライアントソリューション HDI(Hosted Desktop Infrastructure)を世に送り出しました。

「VDIと同じ予算でユーザーの期待に応えることが可能になった」と言います。その理由は、「HP Moonshot Systerm」という新しいアーキテクチャーの、シンクライアントのために専用開発した「専用サーバー」で、無駄のない作りになっているからだということです。

カートリッジ式のサーバーで、1カートリッジに4.3U、1シャーシに45枚のカートリッジが収容可能で、トータル180名分の環境を構築することができます。CPUやGPU、メモリの性能のどれをとっても、スタンドアローンのPCと比較して遜色ないスペックとなっています。

さらにシンクライアントということで、情報漏えいのリスクも軽減することができ、企業のサイバーセキュリティ対策にも貢献できるものとなっています。シンクライアント専用には、「HP ProLiant m700」サーバ―カートリッジが開発されましたが、ビデオトランスコーディングやSBC用インフラに最適な「HP ProLiant m710」、Webサーバーやホスティングサーバーに最適な「HP ProLiant m300」等など、アプリケーションやミドルウェアに最適化された幅広いラインナップから、用途に応じて選択できるということです。


Hosted Desktop Infrastructure – HDI

HDIとは、「仮想化を使わない、ハードウェア占有型の新しいリモートデスクトップソリューション」のことで、「仮想化を用いずにWindows OSを直接インストールし、リモート端末から各ノードに接続して利用する」仕組みであると阿部氏は説明します。また、VDIと同様にCitrix XenDesktopで構成することができると同時に、ソフトウェアを用いない、直接接続による構成も可能だということです。阿部氏はこのHDIのアドバンテージを次のように挙げています。

● PC利用期間である5~6年間に渡って安心できる性能を保持
● GPUとSSD搭載でNGアプリケーションを払拭
● 仮想化やSANのいらないシンプルなアーキテクチャーを実現
● HDIは細かなサイジング不要、これでVDIのサイジングリスクを根本から解消
● 仮想化やSANのいらないシンプルなアーキテクチャーを実現
● 障害時の影響範囲を極小化

 
HDIは、CPU・Memory・Disk・Networkの各リソースがいずれも固定かつ潤沢であるため、細かなサイジングが不要だということです。これにより、VDIでは必須であった導入の際の精密な設計も不要になり、短期導入が可能になるのではないでしょうか。

また、ハードウェアが独立しているということで、障害が発生した場合の影響範囲がVDIとは大きく違うということです。例えば障害がサーバーノードの場合には、VDIでは100人前後、HDIでは、1人から最大4人、シャーシの故障の場合には、VDIでは最大1500人前後に影響が出る一方、HDIでは最大180人への影響だと言います。(※) 定期メンテナンスを行う場合でも、これと同様のことが言えるのではないでしょうか。

(※)これは理論上のものです。HPではBladeSystem c-ClassもMoonshotもシャーシ故障を限りなくゼロにするような設計が施されています。



HDI専用サーバー「HP Moonshot System」
HDIソリューションのターゲットゾーン

HDIの可能性

専門アプリやCADを使うパワーユーザーもHDIではスコープ内、VDIに比べてさらにターゲットゾーンを広げることができると言います。

例えば、システム開発やプログラミングを行うオフショアやアウトソーシングなどの委託社員用に、イラストやグラフィック制作のために、あるいはミドルレンジまでの2D/3D CAD用に、従来VDIでは困難な分野のシンクライアント化もHDIで実現可能だということです。また、仮想化技術を用いないシンプルな構成で、運用面での効果も期待できるのではないでしょうか。そして、ユーザーの利便性の面からも、安全で快適なリモートデスクトップの実現で、さらなるワークスタイルの変革にも期待できそうです。

講演者から「ひとこと」

日本ヒューレット・パッカード社 阿部 敬則 氏

日本ヒューレット・パッカード社 阿部 敬則 氏

ワークスタイル/働き方革命、という言葉を聞かない日はないくらい、従業員の柔軟な働き方を可能にしつつ生産性を高めることがすべての企業の命題となっている、と言っても過言ではありません。そのような時代において、これからの新しいクライアント環境を検討するIT管理者やマネジメントの方々にとって、HP Moonshot SystemによるHDI(Hosted Desktop Infrastructure)は必ずご検討頂きたいソリューションです。

市場投入から約1年、数千ユーザー規模のシステムを含め、国内外でも製造・公共・金融・学校など、幅広い業界で実績が急増しており、まさしくHDIがこれからのデスクトップ仮想化の新標準となることを確信しております。デスクトップ仮想化で長年多くの実績を持つパナソニック インフォメーションシステムズ様に自社環境としていち早くご導入、ご満足頂けていることは我々の自信にもつながっています。ぜひ皆様にもHDIのメリットを一日でも早くご享受頂きたいと強く考えております。

最後に

パナソニック インフォメーションシステムズは、2010年より自社環境でVDIの取り組みを開始、そして2014年にはHDI方式でのリニューアルを決定、わずか2週間の短期間でHDI環境を構築しました。この新たなHDIに加えて、大規模導入実績をベースにしたスキル・運用ノウハウを持つデスクトップ仮想化のオールラウンドSIerとして、お客さまにとって最適なシンクライアントソリューションを提案してまいります。是非ご相談ください。

セミナーは一部を要約して紹介しています。「詳細を聞きたい!」場合には「商品に関するお問い合わせフォーム」から、”製造業向け仮想デスクトップ最新事例ご紹介セミナー”の詳細を聞きたい」と記載、お問い合わせください。あるいは最寄りの営業所に直接お電話でお伝えください。

取材記者:池田 レポート制作日:2014年3月11日

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